掛軸紹介 <橋本関雪> 秋山吟客図

【掛軸紹介】
秋山吟客図
<橋本関雪>
《表具》 長さ 214㎝ 横幅 42㎝
《本紙》 長さ 151㎝ 横幅 30㎝
 
◆共箱(白沙村荘主人自稿)
 
橋本関雪 秋山吟客図
 
山景のオレンジ色と、人物の鮮やかな朱色が映えるこの作品は、なんとも詩的な感じを受けます。
 
写生より写意、外形より内面や精神を重視しようとする<橋本関雪>の芸術の根底テーマは、こうした南画作品をきっかけに色濃くあらわれていったように思えてなりません。
 
 
南画とは、中国の高級官僚が知的修練のひとつとして余技に描いた絵画(文人画)のことをいいます。
「写実」よりも、描き手の内面や想念を描き出す「写意」を本質とする南画は、詩文を伴うことも多く、関雪も前半期の作品には自作の詩が書きこまれているものがみられます。
 
 
本作は、人物の表情から読み取れるものを自身の内面に照らし合わせ、存分に精神世界を味わえる作品ではないでしょうか。
シンプルな作風であればあるほどその自由度は高く、どんな境遇にある人にも寄り添ってくれることでしょう。
 
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【橋本関雪】1883-1945
明治16年、兵庫県生まれ。本名は関一。
片岡公曠に師事、竹内栖鳳に入門。
文展で連続特選となり、大正8年の第1回帝展から審査員。
中国や日本の古画を研究し、特に動物画に格調ある画風を確立した。
帝室技芸員、芸術院会員。
昭和20年2月26日死去。63歳。
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関雪は12歳で四条派の片岡公曠に師事、20歳で竹内栖鳳に入門し、四条派の画技を習得し、天分を大きく伸ばしました。
栖鳳がヨーロッパ旅行で得た見聞を描いた作品を、展覧会で目にしたことがきっかけで入門を思い立ったと伝えられています。
 
父、海関は明石藩の儒者で、兵庫県師範学校や神戸中学校の教諭を務めた人でした。
漢学・漢詩の塾を開き、多くの人材を育てた海関のもとへは、中国の政治家や学者が出入りするという環境で育ちました。
父からの薫陶を得て、中国の古典・歴史・文学といった深い教養に根ざした関雪の初期の作風は、四条派の熟達した技法を駆使して中国古典の世界をテーマとして描く、いわば和技漢才という独自の世界観を生み出し、高い評価を受けました。
 
大正10年、38歳の時に長男を伴ってのヨーロッパ旅行は8ヶ月にもわたりました。
フランス・イタリア・ドイツ・オランダ・イギリス等欧州各地でみた西洋美術は、その後の絵画観に大きな影響を与えたようです。
帰国して間もなく、写生のため中国へも渡りました。
 
この頃から関雪の南画制作がさかんに行われるようになったと思われています。
東洋と西洋のさまざまな画風・表現に触れて、関雪は「僕の行く可き途は南画より他にない。」という境地に至ったことが、自著からもうかがえます。
四条派~南画~動物画と画風を変えた関雪の中期にあたる時期は、「新南画の時代」として位置づけられています。
 
清代最後の文人とも、中国近代で最も優れた芸術家ともいわれる呉昌碩や、書画家としても一流で篆刻家でもある銭痩鉄との交流は、彼の生涯に多大なる影響を及ぼしたに違いありません。
人生において60回も中国を訪れた関雪の、南画や中国文化に対する愛着には、並々ならぬものがあったようです。
 
 
橋本関雪 秋山吟客図
橋本関雪 秋山吟客図
橋本関雪 秋山吟客図
橋本関雪 秋山吟客図
橋本関雪 秋山吟客図
橋本関雪 秋山吟客図
橋本関雪 秋山吟客図
橋本関雪 秋山吟客図
橋本関雪 秋山吟客図
橋本関雪 秋山吟客図
橋本関雪 秋山吟客図
 
 
こちらの掛軸は、弊社9階ギャラリー「美想空 EN art gallery & space」にて販売中です。ぜひ、本物をお近くでご覧ください。
 
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