【鬼滅の刃・小噺 その④ 】 鬼滅の色「紫」高貴の色

こんにちわ。バイヤーA です。
 
鬼滅の刃、連載は終了してしまいましたが、単行本やアニメはまたまだ終わりませんので、今後ともこちらで小噺を続けさせていただきたく思います。
 
前回、藤の花に関してお話ししましたが、その色、「紫」に関して少しお話ししたいと思います。
紫01
紫という色は、日本だけではなく洋の東西を問わず高貴な色とされていました。古来よりギリシャやローマでも位の高い色とされています。
 
日本では聖徳太子の飛鳥時代に制定された冠位十三階で明確に紫が最高位の色と記されています。
紫02
そして奈良時代・平安時代になると、紫は天皇や朝廷の高官の色として「禁色」とされ、他の者は使用できませんでした。
 
では 何故「紫」が最高位の色とされたのか? なんとなく気品が感じられる…とか、聖徳太子がただ単に好きだった!という事でも無く、ちゃんと理由があるんです。
 
西洋では服飾品を紫色に染める時、巻貝の出す分泌液が原料とされました。巻貝1個から出る分泌液はわずかであったため、これが貴重なものであり、ローマ帝国の頃より西洋では紫色の染色布は高貴な身分の者だけが身に着けていました。
紫03
日本も似た様な状況で、紫という色を出すためには、ムラサキという植物の根を使って染色していました。しかしその技術は大変難しく、紫根に含まれる色素を出すには多くの工程を経た染色作業が必要とされ、また紫根を大量に使用する必要がありました。
紫04
このように紫は 精製するのが非常に難しく、たくさん採れない為に貴重な色とされ、特権階級のみの色となった と考えられます。
 
そういえばお寿司屋さんでムラサキといえば醤油の事ですね。
お寿司が庶民にも食べられるようになった江戸時代でも、醤油はとても高級品だったみたいです。高貴な意味合いをもつ紫色からその名が付けられたとも言われてるそうです。高価な紫の着物同様、庶民にとっては、なかなか手が出ない、憧れのものだったのかもしれませんね。
 
他では、源氏物語の作者・紫式部の紫も高貴な色を意識して名付けられたと言われています。
因みに紫式部はニックネームです。
紫05
多くの人が古より愛でた「紫色」。
私は若い頃、「紫」という色に関して、「派手」「エキゾチック」なイメージが濃かったのですが、ある程度歳を重ねてくると、改めて紫の素敵さに気づかされます。今では「神秘的」「高貴」なイメージがとても強いです。色の中でも歳月の経過と共に印象が変わる珍しい色なのではないでしょうか。
 
皆さんも日々の生活の中で、身の回りのものに少し紫を入れてあげると、ちょっとNOBLE(高貴)な気持ちになれるかもしれませんね!色として使い勝手が難しそうですが、女性が上手に紫を使いこなしているのはとても素敵だと思います。
紫06

画・志村立美

 
注) 私は十分にオッサンですので、紫色の取り扱いには細心の注意を払いたいと思います。