書評:「無駄づくり」の人の本、読んでみた。

こんにちは。大卍犬太(スタッフD)です。
 
突然ですが 「無駄づくり」 ってご存知ですか?
 
藤原 麻里菜(ふじわら まりな)さんという、現在はフリーとして活動されている女性が、頭に浮かんだ不必要と思われるモノを制作し、SNSでコンテンツとして公開しているものです。現在、SNSの総フォロワー数は23万人に迫り、総再生回数は4000万回以上。海外初開催となった2018年の台湾での個展では、2万5千人以上の来場者数を記録したそう。
 
私自身、いつからか覚えてはいないのですが、SNSに時々流れてくる動画が面白いなと思い、フォローしながら楽しんでいたのですが、最近、色々なテレビ番組のコーナーで紹介されるなど、とみに注目度があがってきているようなのです。
 
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「無駄づくり」って例えばどんなの?と思われた方のために、最近バズっていた 「オンライン飲み会緊急脱出マシーン」 の動画をご覧ください。
 
※以下、動画は YouTubeチャンネル「無駄づくり / MUDAzukuri」より

「こういうシチュエーションあるな~、何とかならないかなって思っててんな~」というような、見る人が少なからず「そうそう、はいはい」と頷ける日々の小さな課題に対して「そこに、それなんか~い」という無駄なものを当て込んで、くすっと笑いに変える。しかも、ちょっと陰キャ目線で、ブラックな動機で作られているところが、何とも言えずクセになるんですよねぇ。
 
ちなみに「オンライン飲み会緊急脱出マシーン」は、そのブラッシュアップ版が、明和電機のホームページで販売中(こちら にて)ですので、気になった方はぜひ。
 
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1993年生まれということで、まだお若い方なのですが、この「無駄づくり」は2013年からされており、週に最低1つは何かを生み出しているということで、その経験値は想像以上に半端ないのではと思います。
 
特に、ネタ切れを起こさないのか、が気になるところですが、今年1月、そのアイデアの発想法をまとめた著作 「考える術 人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71」 が発売されました。
考える術
 

(Amazonにて販売中。こちら)

 
藤原さんの場合は、無駄なものを作るのが最終目的だとはいえ、そのための最初の一歩は、言葉あそびを考えるとか、常識の逆を考えてみるとか、頭の中での思考錯誤から始まります。それなら誰であっても、何かの企画を考えないと、などという場合にも役立つかも。
 
現にこの本、本屋さんでは今、ビジネス書のコーナーに置いてあるのです。これはもう、読むしかないでしょう!
 
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ここで、その内容の全てを網羅するわけにはいきませんが、気になったものをいくつか・・・。
 
※ネタバレを避ける意味でも、以下の文章は要約で、また、本の中で紹介されているものとは違うアイテムの動画を差し込んでいる場合があります。ご了承下さい。
 
 
■ 日常生活の中の、小さな「ストレス」から考える。
 
「オンライン飲み会緊急脱出マシーン」も、オンラインだと、飲み会がお開きになるタイミングがなく退出しづらい、というストレスを感じたことから制作に至ったそうです。
 
このストレスが起こるシチュエーション(例えば「朝」「通勤時」とか)を思い浮かべたり、あるいはストレスを感じることになった自分自身の「失敗」を思い浮かべることで、何かが生まれるきっかけになる、とのこと。
 
例えば、お酒に酔ってポエムのようなラインやツイートをしてしまう、という失敗を防ぐためのデバイスは、こちら:

■ 「流行に乗る」のではなく、それに対して湧き起った感情から考える。
 
流行に乗る、というのは誰でも考えることで、それに追随したサービスなどはすぐに出てきてしまうものですが、それに対する「個人的な感情」を元に考えるのはどうでしょうか。
 
タピオカが流行った時、インスタ映えする写真を撮るためだけにタピオカを求めようと、お店に行列する人々に対し、純粋にタピオカを飲みたいと思った藤原さんは、これを使えば必ずインスタ映えが台無しになるマシーンを作り、そんな人々を駆逐しようと考えました:

■ 何らかのテーマに関する感情を思い起こす。
 
流行に対して、のみならず、目の前にある「何か」に対して、自分が今までどんな感情を抱いたかを思い起こします。その感情を、ネガティブ、ポジティブ、モヤモヤの3つに分類。
 
ネガティブなら、それを脱するには、と考え、ポジティブなら、それを持続させたりいつも抱けるようにするには、と考え、モヤモヤなら、それを人とうまく共有するには、と考える。
 
そこで、人の不幸は蜜の味、を実現したのが、こちら:

いかがでしょうか?いわゆる無駄、バカバカしいものを作るためであっても、その根本となる考え方は意外と深いんです。
 
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この「無駄づくり」自体も、当初は、所属されていた事務所の気まぐれな企画から始まったものだったらしいのですが、やめずに続けてきたこと、少しずつでもグレードアップさせていく気概でやってきたことが評価につながり、価値を生んできた。誰もやらない一見無駄に思えることであっても、挑戦すること自体に無駄はない、とインタビューで話されています。(CINRA.JOB の記事 こちら より)
 
とにかく前向きに、考えることをやめない。素晴らしい人生哲学を学びました。
 
「考える術」は、実用的なアイデアを生み出したい方 だけでなく、同じような毎日に辟易しているという方 にも、ぜひ読んで頂きたい一冊です。