★こっとううんちく【年中お楽しみいただける(はずの)文様です】(うんちくカード掲載)

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スタッフによる骨董うんちく話★
 
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こっとう☆うんちく…その38
 
こっとううんちく
 
【年中お楽しみいただける(はずの)文様です】
 
シカトする
ことも時には
大切だ
(?)
 
 
これから春を迎える時期に、『紅葉に鹿』という季節外れの模様の七寸皿が新しく入ってきました!
ただ、これではアピールになりませんので(汗)、今回もうんちくをお楽しみいただきましょう。
 
よくペアで描かれる動物と植物があるというお話は、こっとう☆うんちく その26 でご紹介しました。
『紅葉に鹿』もそのひとつですが、この組み合わせにはどんな背景があるのでしょうか?
 
パッと思い浮かぶのは、花札 でしょう。
安土・桃山時代、鉄砲やキリスト教などと共にトランプに近いカードゲームが、ポルトガルから日本へ初めて伝えられます。
それが現在の福岡県大牟田市で印刷され「天正カルタ」が誕生。戦国時代、武士たちの間で大流行しました。
江戸時代になるとこれが賭博目的で使われるようになり幕府によって取り締まられるのですが、その抜け道として、見た目ではわからないようカルタに使われていた数字の代わりにお花を当てて、江戸中期頃に誕生したのが花札です。
 
1年12ヵ月、それぞれの季節に合った植物と動物が描かれており、10月が『紅葉に鹿』
実はこの組み合わせはただ何となくではなく、奈良に伝わる「三作石子詰」(さんさくいしこづめ)伝説が元となっています。
 
奈良市中心部にある興福寺に、菩提院大御堂というお堂があります。
江戸時代、五代将軍徳川綱吉(在職 1680-1709)頃のお話とされているのですが、そのお堂で興福寺の小僧さん達が習字のお稽古をしていた時、一頭の鹿が庭に入り習字の紙をくわえていこうとしました。
そこで小僧の一人の三作が追い払うために文鎮を投げたところ、運悪く急所に当たってしまい、鹿は死んでしまった のです。
春日大社のご神使とされる鹿を殺すのは重罪 で、当時は「石子詰」、つまり死んだ鹿と一緒に生き埋めにされるという刑に処せられました。若い三作も例外なく…。
母親のおみよは嘆き悲しみ、供養のため三作が埋められたすぐそばに紅葉の木を植えた のです。近松門左衛門の浄瑠璃「十三鐘」により、このお話が有名になりました。
 
なんとも物悲しい…もっとも、これは作り話だという説もあります。
また、一説にこの花札の文様が元となり鹿肉を「もみじ」と呼ぶようになったとされていたり、10月の札の鹿がそっぽを向いている様子から、無視することを「シカト」する、と言うようになったりと、今にもその文化的影響を残すすごい文様 なのです。
 
暗い側面はシカトして、「子を思う親心の美しさ」を表すとも言える『紅葉に鹿』文様の器。
季節に関係なく、皆様の食卓にいかがでしょうか(笑)。
 
 
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