こっとううんちく【エピソードで楽しむ骨董】

これを知ったら骨董探しがより楽しくなる!
スタッフによる骨董うんちく話♪
 
* * * * * *
 
こっとう☆うんちく…その17
 
こっとううんちく
 
【エピソードで楽しむ骨董】
 
ユーモラス
絵の裏にある
含蓄よ・・・
(汗)
 
 
古伊万里の器に描かれた絵には、直感でかわいいなと思うものがたくさんありますが、作られた 江戸や明治期の文化・背景がわかると、一段と理解が深まる ものです。
 
この蓋付碗に描かれた「雨模様の中、雷が鳴り、傘を差して逃げ惑う人々」ですが、実は「めっずらし!おもろっ!」だけで終わらないストーリーが隠されているのです。
 
これは、歌舞伎の仮名手本忠臣蔵・五段目 の一場面。
 
早野勘平(はやのかんぺい)は、山城国山崎にある 妻のお軽(かる)の実家に身を寄せ、猟師をしていました。
ある日夕立に会い、商売道具の銃の火縄を湿らせて困っていたところ、思いがけず 元同僚の千崎弥五郎(せんざきやごろう)が通りががります。
二人は、高師直(こうのもろなお)に切り付けた罪で切腹を命じられた塩冶判官(えんやはんがん)の家臣同士。主君である判官の仇討ちの計画を聞き、勘平はその資金を調達することを約束して、弥五郎と別れます。
そのことを知った妻のお軽は、両親に相談。勘平には内密に、祇園で身売りをすることを決意するのです。
 
お軽の父・与市兵衛(よいちべえ)は、娘を売る証文を取り交わして前金の50両を手に、雨の降る夜道、帰路を急ぎます。
そこに現れたのが 盗賊の斧定九郎(おのさだくろう)。与市兵衛を惨殺し、50両を奪います。ほくそ笑む定九郎。
しかしそれでは終わらず、彼の背後から猪が飛び出し、すんでのところでやり過ごした定九郎の身体を、弾丸が貫きます。
猪を狙っていたのは勘平で、その流れ弾が定九郎に命中してしまった のです。
大変なことをしてしまったと定九郎を抱き起したところ、勘平の求めていた50両があり、期せずして手に入れることができたのです。
 
この 後半の場面が、蓋付碗に描かれています。
3人は、与市兵衛、定九郎、勘平なのでしょうか。3人の立ち位置が少し違う感じもしますが・・・。
 
ところで、この3人の中から1人フィーチャーするとしたら、誰にしますか?
実は、かつて演じた役者の功績で同じような図柄で1人の場合は、盗賊の定九郎 なのだそうです。
江戸時代の歌舞伎役者、初代・中村仲蔵(1736-1790)が初めて定九郎を演じたのが明和3年(1766年)。その妖艶で美しい演技は、それまでのこの悪役のイメージをがらりと変え、後世にも伝わる定九郎像となりました。
古伊万里に描かれるようになったのも、この初演の年以降だと言えるそうです。
 
長くなってしまいました。(汗)を(泣)にしてもよかったくらい、ひとつの器の絵に込められた深い、深いストーリー・・・。
これからも解釈と解説、頑張ります(笑)
 
 
* * * * * *
 
商品に関するお問い合わせは、電話・メール・公式SNSのダイレクトメッセージにて受け付けております。お気軽にご連絡くださいませ。
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』 公式SNSはこちら★
インスタグラム  フェイスブック  ツイッター
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』の商品の一部はこちらからご購入できます★
 
商品販売ページ「心斎橋 暮らしのこっとう」