こっとううんちく【それは賢者たちの密会】

これを知ったら骨董探しがより楽しくなる!
スタッフによる骨董うんちく話★
 
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こっとう☆うんちく…その19
 
こっとううんちく
 
【それは賢者たちの密会】
 
密ですよ!
てか、3密どころか
7密やん

 
 
古伊万里の器の柄として人物が描かれていることもよくありますが、竹やぶの中に佇むおじ様たちと言えば「竹林の七賢」(ちくりんのしちけん)。
「7人の賢人たち」ですが、実際には7人も描かれていない場合もあります。
 
この7人は、3世紀、中国の三国時代の魏(220-265)の末期~西晋への交代期頃に 竹林に集まり、乱世の世俗から離れ酒を酌み交わして清談(世俗と関係のない哲学的な議論)にふけった隠者たち とされています。
 
彼らは実在した人物で、山濤(さんとう)、阮籍(げんせき)、劉伶(りゅうれい)、嵆康(けいこう)、向秀(しょうしゅう)、阮咸(げんかん)、王戎(おうじゅう)の7人。
それぞれ思想家・文学者・政治家などとされています。
ただ、生没年や住んだ土地が異なり、隠者として一堂に会したというのは史実ではありません。
(後の5世紀前半に編纂された「世説新語」という、知識人たちのエピソード集に登場し、二者三者同士、友人関係にはあったとのことです。)
 
では、「この7人は何のくくりですか?」と言いますと…
 
それは「政治理念の根本とされた儒教・儒学に代わり、老荘思想(後の道教につながる)の実践を行った」人たちなのです。
 
仁義を根本とする道徳の実践を説いた 儒教・儒学
前漢の武帝の時代(前141~前87)以降、国学とされ長きに渡って政治や生活の上での規範とされてきましたが、政争・国家の興亡の繰り返された乱世の時代において、その地位が揺らぎます。
権力者たちは儒教の精神を偽善的に利用し、形式的には礼儀を示しながら、実際には他人を貶め地位の奪取を行いました。
この7人は、こうした世相を批判し、作為のない自由奔放な振舞いと酒を隠れ蓑に、政争から距離を置いて、乱世を生き延びようとした とされます。
 
老荘思想とは、人為を否定。人間を宇宙の一部と見なし、万物の流れに身を任せ、無為自然に(あるがままに)生きることを是とする思想です。後に成立する道教の思想の源流となりました。
また、インド発祥の仏教の経典を訳す際に老荘思想の概念が当てはめられたため、中国での仏教の普及にも大きな影響を与えました。例えば、「空」を「無」と訳すなど。
 
ちなみに「竹林七賢図」は、日本では室町時代以降、主に水墨画の画題として好まれ、雪村、雲谷等顔、海北友松、長谷川等伯、曾我蕭白、円山応挙など、日本の美術史に名を残す錚々たる画家たちに描かれています。
 
いかがでしょうか?器にかわいく描かれた人物に、深く長い思想の歴史が隠されていたなんて。
7密おじさんたちのレット・イット・ゴー(ありのままで、だけに 笑)は、皆様の心に響きますでしょうか?
 
 
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