こっとううんちく【古伊万里に描かれた(おそらく)最古の植物】

これを知ったら骨董探しがより楽しくなる!
スタッフによる骨董うんちく話★
 
* * * * * *
 
こっとう☆うんちく…その32
 
こっとううんちく
 
【古伊万里に描かれた(おそらく)最古の植物】
 
リゾート感
演出してきた
何億年も

 
 
こちらの器に描かれた2種類の植物。
お花の方は「椿」と分かりやすいですが、もう一方の実のようなものを付けているのは何でしょうか?
 
こちらは「蘇鉄(ソテツ)」。
尖った葉からそう判断しています。塗りつぶされた部分が広葉樹の葉のようにも見え、描かれた実は栗のようにも見えますが、蘇鉄の実を調べてみてください。赤茶色で丸い・・・これ、栗やん(笑)。
そんな南国イメージの植物が、なぜ古伊万里の器に?
 
意外にも思えますが、なんとこのソテツ類の植物は、恐竜がいた2億年前頃のジュラ紀に繁栄し、現存するものはまさに生きた化石。
世界中の熱帯~亜熱帯に分布し、日本の固有種である蘇鉄は九州南部~台湾、中国大陸の南部に分布。日本各地に自生する樹齢が1000年を超えるとされる蘇鉄は、国の天然記念物に指定されています。
まさに長寿、そして実がたわわに実ることから子孫繁栄の象徴とされます。
 
蘇鉄が庭園に植えられたのは室町時代のこと。そして安土桃山から江戸時代にかけて流行し、京都の著名な寺院や各地の大名庭園などに植えられました。
古伊万里の生まれた佐賀(鍋島)藩の初代藩主・勝茂が、1626年の後水尾天皇の寛永行幸に合わせ、京都・二条城に蘇鉄1本を献上したという記録が残っているそうです。
 
古伊万里の蕎麦猪口などにもよく描かれています。
また、有田にある佐賀県立九州陶磁文化館の有名な「柴田夫妻コレクション」の中にも、1670~1690年代のものとされる鶉(うづら)蘇鉄文の染付皿があります。
 
ちなみに蘇鉄という呼び名については、枯れかかった時にその幹に「鉄」くぎを打ち込むと「蘇」るという言い伝えから、などの説があるそう。
 
想像を絶するような長い年月を生き延び、何代にも渡ってたくさんの人々の目に触れ、数百年前に器に描かれた蘇鉄が今こうして私たちの目の前に蘇ってきたわけです。
そう考えると、いかにも感慨深いですね。
 
 
* * * * * *
 
商品に関するお問い合わせは、電話・メール・公式SNSのダイレクトメッセージにて受け付けております。お気軽にご連絡くださいませ。
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』 公式SNSはこちら★
インスタグラム  フェイスブック  ツイッター
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』の商品の一部はこちらからご購入できます★
 
商品販売ページ「心斎橋 暮らしのこっとう」