「秋の七草」のお話
皆さま。こんにちは。
担当C・Kです。
蒸し暑かった夏がようやく過ぎ去ろうとしています。秋がやってきていますね。
今回は「秋の七草」についてお話ししようと思います。
以前、七草粥のお話をしたとき、七草粥に使う具材は「春の七草」だと述べました。
実は七草があるのは春だけではありません。秋にも七草は存在するのです!
「春の七草」は、正月料理に疲れた胃腸を休め、冬に不足しがちな青菜を補うための七草粥を作るために食用の植物が選ばれています。しかし、「秋の七草」は秋の野に咲く花です。生薬の薬効を持っているものもありますが、食べるためではなく花を見て秋を楽しむための花々で、万葉集の歌人 山上憶良が詠んだ二首の歌から来ています。
〇『秋の野に 咲きたる花を 指折りかき数ふれば 七種の花』
(山上憶良 万葉集 一五三七 巻八)
〇『萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 女郎花 また藤袴 朝貌(あさがお)の花』
(山上憶良 万葉集 一五三八 巻八)
※「朝貌の花」は、諸説ありますが、「桔梗」を指すのが有力な説です。
① 萩(はぎ):
秋に咲く草という意味で、お彼岸の時に食べる「おはぎ」の由来です。
(Wikipediaより)
② 桔梗(ききょう):
根が結(桔)実し、硬(梗)いことに由来する。木偏をとると「吉更(さらにきち)」になるため、縁起物としても好まれました。
(Wikipediaより)
③ 葛(くず):
奈良県吉野付近の古代の地名「国栖(くず)」に由来します。有名な漢方薬「葛根」は葛の根を乾燥させたものです。
(Wikipediaより)
④ 藤袴(ふじばかま):
花弁が藤色の袴に似ていることから名がつけられました。香りが強く、公家の人々は湯に入れたり、衣服や髪につけていたそうです。
(Wikipediaより)
⑤ 女郎花(おみなえし):
女性が食べていた黄色い粟飯「女飯(おみなめし)」と花が似ていることから、「オミナメシ」→「オミナエシ」と呼ぶようになったそうです。ちなみに、男性は白いもち米の飯「男飯(おとこめし)」を食べており、白い花だと「男郎花(おとこえし)」と呼ぶそうです。
(Wikipediaより)
⑥ 尾花(おばな):
ススキの事です。花穂が馬の尾に似ていることが由来です。
(Wikipediaより)
⑦ 撫子(なでしこ):
花が小さく、色も愛すべきところから、愛児のように撫でいつくしむの意味とされています。
(Wikipediaより)
これらの花々は昔から絵師たちによく描かれており、掛軸にもたびたび登場します!
弊社の商品にも良く描かれていますよ。
(小川翠村 萩花群鶉図「露光」(HP513) 一部)
(大出東皐 秋草蝶猫図(HP497) 一部)
このように、昔から日本人はその季節で草花を愛で、鑑賞してきました。昨今の異常気象で年々短く感じる秋ではありますが、この「秋の七草」から秋を感じて頂ければ幸いです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。