春日大社と春日曼荼羅

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奈良生まれ、大阪育ち担当Kです。
奈良市内の極小病院で生まれた為、未だに血液型が不明のままです。
 
お宮参りは、もちろん 「春日大社」
毎年1月、健在であることに感謝し、ご報告させて頂く大切な場所でもあります。
奈良公園や東大寺、そして春日大社には、数えることができないぐらい訪れておりますので、正直なところ「特別感」というよりも「親近感」といった方が近いです。
 
さて、弊社ホームページにて販売中の商品に一点、とてもこの春日大社に縁の深い作品があります。
HP112春日曼荼羅

(弊社取扱品 こちら にて)

 
あまりこの画像をご覧になり、こちらが春日大社に関係していて、神道曼荼羅、仏画の類いであると分かる方は少ないと思います。
 
奈良公園の鹿は約1300頭で、近年は海外からの観光客にも人気ですが、元来「神鹿」として神の使いとされ、大切にされてきた鹿たちです。
 
こちらの絵にある鹿の毛並みは白色ですが、それが神の使いであり、武甕槌命(たけみかづちのみこと)を、常陸國鹿島から御蓋山へと乗せてきた伝説を描いたものであることを現しています。
 
雲に乗った白鹿の鞍には榊(さかき)があり、そこには藤のツルが絡み、花を垂らします。ちなみに春日大社は藤原氏の氏神であるので、藤が描かれるのは、由来しているかもしれません。
 
榊の枝先には、それぞれ仏菩薩が描かれ、文殊菩薩、釈迦、薬師、地蔵、十一面観音、これらは、春日社の若宮および本社第一殿から第四殿までの祭神の本地仏(=神々の元となる仏・菩薩のこと。日本の神々は、人間を救済しようとする仏や菩薩が化身として現れたものであるとの考え(本地垂迹説)に基づく)にあたります。その背後には金色の円相があります。
 
「鹿曼荼羅」と呼ばれることもある 春日曼荼羅 ですが、いくつか描かれており、そのひとつが、奈良国立博物館に納められている重要文化財「春日鹿曼荼羅図」であります。
春日鹿曼荼羅図

(出典:奈良国立博物館 収蔵品データベース)

 
鎌倉時代、14世紀に描かれたこちらと、弊社の春日曼荼羅が酷似しているのがお分かり頂けるかと思います。
 
多くの仏画などは、その絵の中に色々な「意味」が込められたものとなっています。神社仏閣や美術博物館を訪れた際は、そういった意味を調べてみるのも面白いです。
 
重文級!?の作品も取り扱う弊社の商品群にこれからもご期待ください。

くずし字学習のススメ

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こんにちは、バイヤーYです。
 
私は、この仕事を始めてからくずし字を勉強し始めました。市の古文書解読講座に参加したり、入門書を読んだりしたのですが、致命的な弱点が、、、
 
集中力が無い!
 
しかしながら、仕事に直結していたため、いろんな方法で騙し騙し学習して → 続かず、のサイクルを繰り返して今に至ります。(今もたいして読めませんが汗)
 
そんな私がオススメする学習方法。それは、、、
 
禅語の掛軸を読む!
写真01
その理由は三つあります。
 
①だいたい五文字
 
体感ですが、大体の一行書が五文字で書かれています。五文字だけなので、ちょっとした時間にサクっとチャレンジできて、プチ達成感を得ることができるのです。
 
②だいたいネットで検索したら出てくる。
 
例えば「松樹千年翠」という言葉が一部しか読めない時、「松 千年 禅語」「松樹 禅語」というようにGoogleで検索すると
写真01
出てくることが多いです。
 
③だいたいええこと書いてる。
 
ネットで検索すると、その意味や逸話を解説しているサイトが出てきます。教訓にしていきたいような内容が多いです。日々コツコツ読んで実践していくと、素晴らしい人間になり、悟りが開けるハズです!(笑)
 
そして、実は弊社でも数多く取り扱っております。
 
ヤフオクの弊社IDで大徳寺というワードで検索した結果が こちら ですが、まずは、こちらの商品画像でチャレンジしていただければと思います。
 
どうしても読めない時は、ぜひ質問欄で聞いて下さい。弊社スタッフ一丸となり解読します!
 
いかがでしたでしょうか?
禅語の掛軸は、独特の書の癖もありますが覚えやすいと思いますので、学習の足掛かりや気分転換に、是非ともご活用ください!

【買取コラム】掛軸を売るときは〇〇をしてはダメ!?骨董屋の嫁が教える、上手な売り方

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床の間に飾る掛軸。洋間化が進む日本では場所を取るだけ!と敬遠されがち。
遺品整理や生前整理、おうちの建て直しのために古い家の荷物を整理していたら大量に出てきて困った・・・なんてのはよく聞くお話。
 
さてそんな、欲しくない人にとっては邪魔にしかならない掛軸ですが、某国民的テレビ番組などでご存知の通り、高額なお宝になる可能性を秘めています。
 
『テレビまでは応募しなくていいけど、もしお小遣いになったら嬉しいなあ。思い切って売ってみよう!』
 
そう考える人も少なくないはず。
そんなあなたへ、伝えたいことがあります。
 
掛軸を売るとき、
 
●修理
●表装
●シミ抜き
●箱のあつらえ…etc
 
するのが正解でしょうか?
しないのが正解でしょうか?
 
答えは・・・「 しない 」 です!
 
どんなにボロボロでも汚くても、絶対にしてはいけません!
買取コラム
なぜ売る前にこれらをやってはいけないの?
綺麗な状態で売るほうが良いに決まってますよね?
 
確かにブランド品やゲーム、本などは綺麗にクリンナップして売るほうが評価が高くなるというのは今や常識ですね。場合によってはネットオークションなどで空箱を買ってから売却したほうが高くつくものもあるとか。
 
しかし 掛軸においては全くの別問題!
掛軸のメンテナンスはプロの表装屋さんしかできません。箱のあつらえもそう。
つまり・・・
 
売却時の掛軸の価値より、メンテナンス代が上回ってしまう確率のほうがはるかに高いのです。
 
例えば30万円かけて再表装した掛軸でも、画題や作者の人気度など市場相場にのっとった買取価格が2000円ということは少しも珍しくありません。つまり29万8000円の損・・・大損です!!
 
または市場相場的に高額な品物であっても表装の雰囲気が作品に合っていなければ、これまたまったくの無駄になってしまう可能性だってあります。
 
お宝になる可能性があるとはいえ、たったの数千円・数百円、、お値段がつかない!ということもある掛軸。お客様に悲しい思いを味わってほしくない、あわよくばお小遣いになった!と喜んで欲しいので…
買取コラム
掛軸を売る場合には
どんなに汚くても、
ボロボロでも、
いい物だと聞いていても、
手つかずのまま依頼してくださいね。

これは何?・・・絵で読む仏教経典

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こんにちは! 担当のnomoriです。
秋季さわやかな良い季節になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
 
私は普段、仕事で掛軸を仕分けしていると、これはなんだろう?と思う作品に出会う時があります。
今日は、そのような作品を紹介していきます。
 
突然ですが、以下の、たくさんのイラストに文字があてられたようなもの。
皆様は、これが何かお分かりでしょうか?
絵心経01
絵心経02

(弊社取扱品)

これは、般若心経を絵で表した「絵心経」と言います。
 
その昔、三蔵法師がインドから持ち帰った経典が「般若波羅蜜多経」。原典のサンスクリット語を漢語に訳し600巻ほどにまとめ、この般若波羅蜜多経の中から、さらに大乗仏教の神髄というべき部分を抜粋し、わずか300字ほどにまとめあげたものが「般若心経」です。
 
その般若心経を、約300年前(元禄時代)に現在の岩手県二戸郡安代町の善八さんが考案。東北地方の子供達に教え広めようとして、面白くわかりやすい絵に描かれたのが「絵心経」なのです。
絵心経03

(出典 ウォーキング&デジカメ Goo ブログ)

 
東北地方ではシをスと発音するので、色即是空の「シキ」が「すき」になり、乃至(ないし)の「ナイ」を「ナエ」と発音し、苗であらわしたりしています。個人的には「ぎゃあ」を猿の叫びと捉えたり、「みゃく」はそのまま脈をとる様子を描いているところが好きです。
 
お経は、字が読める人でも正確に読むことが難しいので、絵で覚えようという考えはとても面白いと思いますし、それぞれ面白いと思う絵も違うと思うので、観るだけでも楽しめます。
 
また、このような面白い画題や掛軸があれば紹介したいと思います。
 
貴重なお時間を割き、最後までご高覧いただきまして有難うございました。

幸運をもたらす神獣、四霊

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皆様、いかがお過ごしでしょうか?担当のC・Kです。
 
いったん収まったと思われたコロナが徐々に猛威を振るい始めています。
このようなときは自分と家族、友人など大切な人の無事を祈って思わず神頼みをしてしまいますね。今回は、そんな神様ではないですが、少し関係ある神獣についてのお話です。
 
突然ですが、皆様は『四神(しじん)』をご存知でしょうか?
 
東西南北、各方位を司る有名な神、神獣です。
それぞれ、東の青龍西の白虎南の朱雀北の玄武を指します。
元は中国から伝わったものですが、日本でも多くの人に信仰されています。最近では、ゲームや漫画にも登場するので、ご存知の方も多いと思います。
 
では、『四霊(しれい)』をご存知でしょうか?
 
四神と同じく、想像上の四体の神獣ですが、ややマイナーかも知れませんね。正確にいうと中国の古い書物『礼記』(儒教において最も大切な書物、五経のひとつ)に記された、四体の神秘的な動物のことをいいます。四瑞(しずい)ともいいます。
 
それぞれ・・・
 
麒麟(きりん)
 
動物園にいる首の長い動物ではありません(むしろこちらはこの麒麟に似ているとされ、名づけられました)。鹿の体、龍の顔、馬の蹄、黄金の体毛を持った一角獣です(2、3本の角を持って描かれることもあります)。某ビール缶でご覧になられた方が多いと思います。
 
麒麟
 
鳳凰(ほうおう)
 
梧桐(日本ではアオギリ)に住み、五色の羽を持っている鳥です。実は花札の12月の月札に登場します。
鳳凰
霊亀(れいき)
 
仙人たちの桃源郷である蓬莱山を背負った大きな大きな亀です。
霊亀
応龍(おうりゅう)
 
蝙蝠、もしくは鷹の翼を持つ龍です。
霊亀
それぞれ略して、麟(りん)、鳳(ほう)、亀(き)、龍(りゅう)とも呼ばれます。
 
『四神』が方角を司る守護神であるのに対し、『四霊』はこの世のあらゆる動物たちの長とされています。『四霊』という言葉に「霊」という漢字が使われているので幽霊的な怖いものを連想してしまった方もいると思います。しかし、この「霊」は幽霊的な意味ではありません。
 
あらゆる物の中で最も優れたものをさす言葉で「万物の霊長」という言葉があります。『四霊』の「霊」もこれと同じで、あらゆる動物たちの中で最も優れた力を持つという意味になります。
 
つまり、『四霊』は 何か善いことが起こる前兆、吉兆の徴となるような特徴をもつ伝説上の動物たち のことを指すのです。『四霊』の中でも特に、麒麟と鳳凰は優れた治世に現れ、見た者に幸運をもたらすとされています。
 
このブログを読んでくださった方々にも幸運が訪れることをお祈りしています。
 
 
最後に、弊社のホームページでは現在、浄光鶴亭作『桐鳳凰図』 を掲載販売しています
(販売ページ:https://www.art-en.jp/hp047/)。
 
浄光鶴亭の鳳凰図は2016年に開催された展覧会「わが名は鶴亭」に展示されました『桐に鳳凰図』宝暦三年九月(個人蔵)の他には確認されていません。かなり貴重な作品となっています。
 
ぜひ一度、ご覧くださいませ。