スタッフの C・K です。
数年前、アメリカのライフ誌が選んだ「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」に載った唯一の日本人葛飾北斎が話題になりました。
美術界に名を遺す芸術家たちは、北斎の絵をまねて絵を描いたり、インスピレーションを受けて作品を世に残しました。昨今のコロナウイルスの影響で期間短縮に追い込まれた展覧会「ゴッホ展」のフィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホ も、葛飾北斎に影響を受けた一人です。
見比べてみましょう。
まずは、葛飾北斎の名所浮世絵揃物『富嶽三十六景』全46図中の1図、「神奈川沖浪裏」(かながわおきなみうら)。
そして、ゴッホの『星月夜』です。
少しわかりにくいですが、富士に覆いかぶさろうとする波の感じと『星月夜』のうねるような空が似ています。
他にも、葛飾北斎から影響を受けた画家、作曲家は多数います。
しかしながら、先ほど載せた「神奈川沖浪裏」が含まれる『富嶽三十六景』に最も影響を受けた人物といえば、アンリ・リヴィエール という画家でしょう。
アンリ・リヴィエールはフランス出身のポスト印象派の画家です(ポスト印象派についての説明はまずおいておきます)。日本では「フランスの浮世絵師」と呼ばれているそうですが、あまり知られていません。
彼は「エッフェル塔三十六景」というものを製作しています。
こんなものや・・・・・
富嶽三十六景を見たことがある人なら既視感を覚えることでしょう。
フランスの象徴、エッフェル塔を、富岳三十六景の富士に見立てたのですね。
また、北斎の富嶽三十六景は、描かれた富士のほかにもう一つ富士の形を作った対比構図で有名ですが、こちらの作品にもエッフェル塔の形が見られます。船のレッカーやエッフェル塔から漏れ出た光の線です。
まねて描かれた作品の対比はとても面白いです。どんな構図をまねたのか、アレンジした部分はどこか見ていると飽きません。
浮世絵好きの方は、ご自分の好きな絵図がどんな風に真似されたか対比してみてはいかがでしょう?
全国の美術館の再開も間近と期待しつつ・・・
