ENjoy Antique

縁の社員が日常で琴線にふれたモノやコトにスポットライトを当てます

こっとううんちく【可愛い形に隠された深~い由来】

記事を読む

こっとううんちく

これを知ったら骨董探しがより楽しくなる!
スタッフによる骨董うんちく話★
 
* * * * * *
 
こっとう☆うんちく…その25
 
こっとううんちく
 
【可愛い形に隠された深~い由来】
 
このかたち
かわいさに似合わぬ
(?)
深い由来
 
 
この器の形。
楕円の4か所をつぶしてできているかのような、お花のようなかわいい形ですが、何と呼ぶかご存知でしょうか?
 
正解は「木瓜」(もっこう)。
 
元々は、中国・唐の時代に、宮廷で働く時に着られた官服に織り込まれた文様、窠文(かもん、鳥の巣の文様)に由来 します。鳥の巣ということで、子孫繁栄の願い が込められました。
鳥の巣なのに、なぜ「もっこう」と呼ぶのか。
それは、日本に伝えられた平安時代、有職文様(公家階級の装束や調度品に用いられた文様)として、帽額(もこう、神前や宮殿に用いるすだれの掛けぎわを隠すため、横に張る幕のこと。額隠とも呼ばれる。)に用いられたことから、「もこう」が転じて「もっこう」となり、「木瓜」と当て字がされた とのこと。
 
またこの文様、日本では広く浸透した家紋の形で「十大家紋」のひとつ とされています。
言葉のもじりなのか、木工職人の家系・末裔に多いそうです。
花弁に例えると4弁ですが色々とバリエーションがあり、例えば織田家の家紋は5弁で「織田木瓜」と呼ばれます。
 
読み方に関して、木と瓜で「きゅうり」ちゃうの?と思った方、するどい!
野菜のキュウリは「胡瓜」(胡は、中国から見た西方という意味で、キュウリがシルクロードを通じて日本に渡ってきたことに由来)ですが、当て字として「木瓜」とも書きます。
京都・八坂神社のご神紋が、織田家の家紋と同じく5弁の木瓜文で、輪切りにしたキュウリの断面に形が似ています。
そこで 祇園祭の期間中、全国にある祇園神社の周辺では、敬意を払う意味でキュウリを食べないようにしている ところが多いそうです。
 
この形ひとつに隠された、長い歴史と様々なウンチク。
これをスラスラと口頭で説明できたら、「お~!」と言って頂けるかな・・・がんばります(笑)
 
 
* * * * * *
 
商品に関するお問い合わせは、電話・メール・公式SNSのダイレクトメッセージにて受け付けております。お気軽にご連絡くださいませ。
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』 公式SNSはこちら★
インスタグラム  フェイスブック  ツイッター
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』の商品の一部はこちらからご購入できます★
 
商品販売ページ「心斎橋 暮らしのこっとう」

こっとううんちく【呼び名がマジックのように七変化する文様】

記事を読む

こっとううんちく

これを知ったら骨董探しがより楽しくなる!
スタッフによる骨董うんちく話★
 
* * * * * *
 
こっとう☆うんちく…その24
 
こっとううんちく
 
【呼び名がマジックのように七変化する文様】
 
マジシャンか
いや仙人の隠された
不思議な文様

 
 
この器に描かれているなんとも不思議な文様ですが、珍しく色々な呼び方があります。
 
もくもくとした雲のような文様。これは、元々中国で描かれた きのこの一種である霊芝(れいし、万年茸)を図案化したものです。
ですので、そのまま【霊芝文】と呼んでもいいのですが、霊芝は仙人が採り食すと長寿が得られるもので吉祥文とされ、文人画でよく描かれる【仙人祝寿文】(仙人が長寿を祝う意味)とも呼ばれます。
さらに日本では、春の七草のひとつ、ナズナに似ているとされ【なずな文】とも呼ばれています。
全体的に小窓に分けて描くのは芙蓉手の影響で、それがねじれていることから【捻れなずな文】と呼ぶ人もいます。
 
染付でよくあるデザインなのですが、こちらは赤色が入っており、U・S・Aを感じさせる(?)、なんともオシャレな印象ですよね。
 
 
* * * * * *
 
商品に関するお問い合わせは、電話・メール・公式SNSのダイレクトメッセージにて受け付けております。お気軽にご連絡くださいませ。
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』 公式SNSはこちら★
インスタグラム  フェイスブック  ツイッター
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』の商品の一部はこちらからご購入できます★
 
商品販売ページ「心斎橋 暮らしのこっとう」

こっとううんちく【それは賢者たちの密かな楽しみ】

記事を読む

こっとううんちく

これを知ったら骨董探しがより楽しくなる!
スタッフによる骨董うんちく話★
 
* * * * * *
 
こっとう☆うんちく…その23
 
こっとううんちく
 
【それは賢者たちの密かな楽しみ】
 
このご時世
虎渓三笑
(こけいさんしょう)
してみない?
 
 
2019年の初め、堀江のアートショップ&ギャラリー ART HOUSEにて、作家・はせがわはっちさんの絵本「さらじいさん」の原画展が行われ、心斎橋 暮らしのこっとうもポップアップ出店しました。
「さらじいさん」は、はっちさんのおじさんがかつて京都で骨董店を営まれており、そちらでもらったという3人のおじいさんの描かれた古伊万里のお皿がテーマになっています。
 
そして今回、弊社に 入荷したお皿の柄が酷似していたのです!(真ん中の人物が向いている方向や、背景にいるコウモリの数が違うくらい・・・。)
でも、そもそも有田という狭いエリアで焼かれていたお皿。有名な意匠であれば、違う窯や違う絵師によって同様に制作されていたとしても、おかしくはありません。
 
***
 
この意匠の元となったのは、1072年、陳舜兪(ちんしゅんゆ)という人が記した「盧山記(ろざんき)」(廬山の名所旧跡を訪れ著した観光案内書)に描かれたお話、「虎渓三笑」です。
 
虎渓(こけい)は、中国・江西省北部の廬山という山の中にある川のこと。
廬山は1996年に世界遺産に登録された有名な景勝地です。
 
三笑(さんしょう)は、三人が笑う の意味で、その三人とは・・・
慧遠(えおん)- 中国浄土宗の開祖であるお坊さん
陶淵明(とうえんめい)- 詩人
陸修静(りくしゅうせい)- 道士(道教を信奉する人たち)
 
慧遠は、ある時 修行のために廬山に入り、30年はここから出ないぞ、と誓いを立てました。それ以来、来客があった時には廬山の入り口にあたるところにある、虎渓にかかる橋の手前で見送っていました。
 
ある時、二人の友人である陶淵明陸修静が訪ねて来、酒を酌み交わしながらあたりをそぞろ歩き。
陶淵明は、役人としての職を80日で辞め、隠遁して詩を書いていることを、また陸修静は、道士となってからは俗世から離れ隠居生活を送っていることを話しました。
そう、3人とも浮世の喧騒はこりごり、という共通認識があり、お話がたいそう盛り上がった んですね。
 
お話に夢中だった3人は、虎が吠える声でふと我に帰ります。するといつのまにか、虎渓にかかる橋を超えてしまっていた のです。
「あれぇ~?慧遠くん、廬山からは出ないってあれほど言ってたのにぃ~」と、皆で大笑い したのでした。ちゃんちゃん。
 
***
 
3人の生没年が合わないので、これは作り話だとされますが、古くから東洋画の画題としてよく取り上げられてきました。
日本では禅宗が広まった室町時代以降、水墨画に描かれるように。
雪舟(室町後期)、曽我直庵(安土桃山~江戸初期)、狩野山楽(安土桃山~江戸初期)、池大雅(江戸中~後期)などの作品があり、アメリカのボストン美術館には、江戸時代、曽我蕭白が描いた「虎渓三笑図屏風」が所蔵されています。
 
こっとう☆うんちく その20で解説した「竹林の七賢」も、世俗を離れた賢者たちが登場しましたが、政情の安定しない時代には、隠遁することが礼賛されていた のですね。
また、自然万物と一体化することが悟りを開くことだとする禅の思想にもつながり、武士の時代にもてはやされていたのだと想像します。
 
***
 
この虎渓三笑という言葉、四字熟語としての意味は「あることに熱中するあまり、他のことを忘れてしまうこと」で、例えば、”鬼滅の刃を読んでいたら面白すぎて、虎渓三笑、ご飯食べるのも忘れちゃってたよ”というように使います。
 
今まで普通にできていたことが規制されてしまい、生活が一変してしまった方もいることでしょう。楽しみも奪われてしまったかもしれません。新たに「虎渓三笑」できることが見つけられたら、それは幸せなことですね。
こんな時だからこそ、前向きな気持ちでいたいものです。
 
 
* * * * * *
 
商品に関するお問い合わせは、電話・メール・公式SNSのダイレクトメッセージにて受け付けております。お気軽にご連絡くださいませ。
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』 公式SNSはこちら★
インスタグラム  フェイスブック  ツイッター
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』の商品の一部はこちらからご購入できます★
 
商品販売ページ「心斎橋 暮らしのこっとう」

こっとううんちく【かわいいだけじゃない蝶々】

記事を読む

こっとううんちく

これを知ったら骨董探しがより楽しくなる!
スタッフによる骨董うんちく話★
 
* * * * * *
 
こっとう☆うんちく…その22
 
こっとううんちく
 
【かわいいだけじゃない蝶々】
 
アナスイも
びっくり仰天!?
古い意匠

 
 
古伊万里の器には、色とりどりで可愛いだけでなく吉祥の意味が込められた文様 が多く描かれますが、こちらの七寸皿で目を引く「蝶」もその一つです。色とりどりで、今の感覚でも十分オシャレに感じてしまいますね。
 
掛軸にも描かれる「猫と蝶」は、耄耋図(もうてつず)と呼ばれ、長寿を願うおめでたい画題 とされますが、これは中国語で「猫māo」が70歳を表す「耄mào」と、「蝶dié」が80歳を表す「耋dié」と発音が似ているから。
前漢(紀元前206~8年)にまとめられた儒教の経書「礼記」(らいき)にも、その記述があります。蝶が長寿を表す とは意外ですよね。
 
とても古くから縁起がいいとされた蝶文様が日本に伝えられたのは奈良時代で、その優美さから、平安時代には公家の装束や調度品に描かれる有職文様とされました。
また蝶の中でも揚羽蝶が、平家の家紋となります。
戦国時代になると武士が兜や鎧に好んでつけるようになりますが、これは さなぎから羽化する姿が、死からの再生を連想させる からだそうです。
 
同じ生き物の文様でも、言葉や時代によってどんな「縁起よさ」を見出すかが異なるのが、興味深いですね。
 
 
* * * * * *
 
商品に関するお問い合わせは、電話・メール・公式SNSのダイレクトメッセージにて受け付けております。お気軽にご連絡くださいませ。
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』 公式SNSはこちら★
インスタグラム  フェイスブック  ツイッター
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』の商品の一部はこちらからご購入できます★
 
商品販売ページ「心斎橋 暮らしのこっとう」

こっとううんちく【ユニークな形にユニークな呼び名】

記事を読む

こっとううんちく

これを知ったら骨董探しがより楽しくなる!
スタッフによる骨董うんちく話★
 
* * * * * *
 
こっとう☆うんちく…その21
 
こっとううんちく
 
【ユニークな形にユニークな呼び名】
 
この形
ブルース・リーも
愛でていた
(?)
 
 
以前、「望料」(もうりょう)という形状の蓋付き碗をご紹介しましたが、今回の形状にも独特な呼び名があります。
そば猪口もこの碗の影響で作られたものがあります。
 
それは・・・「広東形」(かんとんがた)。
 
高台(底に付けられた円形の”足”の部分)が高く、胴の部分が逆さにした台形のような形状
なぜこれが広東形と呼ばれるのかといいますと、18世紀の中国清朝で作られた磁器で 広東の港から輸出された雑器を「広東焼」と呼び、その形状に影響を受けた から。
江戸の天明期(1781~89年)から文政期(1818~1830)頃までの一時期流行し、盛んに作られたそうです。
 
これだけ制作期間が形状ではっきりしているものも珍しいのではないでしょうか?
 
※ちなみにブルース・リーというのは「広東」だからというだけで、直接関係はありません。「香港形」ではないので、ご注意を(笑)
 
 
* * * * * *
 
商品に関するお問い合わせは、電話・メール・公式SNSのダイレクトメッセージにて受け付けております。お気軽にご連絡くださいませ。
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』 公式SNSはこちら★
インスタグラム  フェイスブック  ツイッター
 
★『心斎橋 暮らしのこっとう』の商品の一部はこちらからご購入できます★
 
商品販売ページ「心斎橋 暮らしのこっとう」